【最新版】ソーシャルメディアガイドラインの作り方|コピペで使えるテンプレートと有名企業の事例

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企業の公式アカウント運用や従業員のSNS利用が一般化する一方、不適切な投稿による「炎上」リスクも無視できません。こうしたSNSリスクから会社と従業員を守り、企業のブランド価値を向上させるために不可欠なのが「ソーシャルメディアガイドライン」です。しかし「何から手をつければいいかわからない」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、ガイドライン作成の目的設定から社内への周知までを5ステップで分かりやすく解説。さらに、コピペで使えるテンプレートやトヨタ自動車など有名企業の事例も具体的に紹介します。この記事を読めば、初めての方でも自社に合った実用的なガイドラインを作成できます。

目次

ソーシャルメディアガイドラインとは なぜ企業に必須なのか

ソーシャルメディアガイドラインとは、企業に所属する役員や従業員が、X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、TikTokなどのソーシャルメディア(SNS)を利用する際に遵守すべきルールや行動指針を定めたものです。これには、個人のアカウントでの発信と、企業の公式アカウント運用における両方の側面が含まれます。スマートフォンの普及により、誰もが情報発信者となり得る現代において、ソーシャルメディアガイドラインは、企業活動における「デジタルの交通ルール」として、もはや必須の存在と言えるでしょう。単にトラブルを避けるための禁止事項集ではなく、従業員が安心してSNSを活用し、企業の価値向上に貢献するための指針となる重要な役割を担っています。

従業員と会社をSNSのリスクから守るため

ソーシャルメディアガイドラインが企業に必須である最大の理由は、従業員と会社をSNSに潜む様々なリスクから守るためです。たった一度の不適切な投稿が、瞬く間に拡散され、取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。こうした「炎上」は、企業のブランドイメージを著しく毀損し、事業継続に深刻な影響を及ぼしかねません。ガイドラインを整備し、従業員一人ひとりのリスク意識を高めることが不可欠です。

具体的には、以下のようなリスクが想定されます。

リスクの種類具体的な内容企業への影響
炎上リスク差別的・攻撃的な発言、ハラスメント行為、顧客や取引先への不適切なコメント、勤務中の不謹慎な投稿など。ブランドイメージの失墜、顧客離れ、不買運動、株価下落、採用活動への悪影響。
情報漏洩リスク未公開の新製品情報、社内の機密情報、顧客や取引先の個人情報などを誤って投稿してしまう。法的責任の追及(損害賠償請求)、社会的信用の喪失、競合他社への情報流出。
コンプライアンス違反著作権や肖像権の侵害(無断転載など)、ステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝)、景品表示法違反など。行政処分、罰金、訴訟リスク、消費者からの信頼失墜。
なりすまし・乗っ取り従業員や公式アカウントになりすました偽アカウントによる虚偽情報の発信や、アカウントの乗っ取りによる不正利用。風評被害、顧客の混乱、セキュリティ体制への不信感。

これらのリスクは、公式アカウントだけでなく、従業員の個人アカウントでの発信がきっかけで発生することも少なくありません。だからこそ、全従業員を対象とした明確なガイドラインの策定と周知徹底が、企業の防衛策として極めて重要になるのです。

企業のブランドイメージと信頼性を向上させるため

ソーシャルメディアガイドラインは、リスク回避という「守り」の側面だけでなく、企業のブランドイメージや信頼性を高める「攻め」の側面も持ち合わせています。明確なルールのもとで、従業員がSNSを積極的に活用することは、企業にとって多くのメリットをもたらします。

ガイドラインがあることで、従業員は「何を発信して良いのか」「どこまでが許されるのか」を理解し、安心して情報発信を行えるようになります。例えば、自社の製品やサービスへの愛着、仕事へのやりがい、職場のポジティブな雰囲気などを従業員が個人の言葉で発信することは、広告では伝えきれない企業のリアルな魅力を社会に届ける強力な手段となります。こうした従業員一人ひとりによる自発的な情報発信は、企業のファンを増やし、採用活動においても「この会社で働きたい」と思わせる魅力的な情報として機能します。

さらに、ソーシャルメディアガイドラインを社外に公開することも有効です。ガイドラインを公開することで、企業としてSNS利用のリスクと真摯に向き合い、コンプライアンスを重視する透明性の高い姿勢を顧客や取引先、株主といったステークホルダーに示すことができます。これは、デジタル社会における企業の社会的責任(CSR)の一環として、長期的な信頼関係の構築に繋がるでしょう。このように、ガイドラインは単なる規制ではなく、企業の価値を高めるための戦略的なツールとなり得るのです。

ソーシャルメディアガイドラインの作り方を5ステップで解説

ソーシャルメディアガイドライン作成の5ステップ 1 目的を明確にする 「何のために作成するか」を定義(リスク回避・ブランド浸透など) 2 盛り込むべき内容を洗い出す 基本方針・禁止事項・運用ルールなどを網羅的にリストアップ 3 テンプレートを元に草案を作成する 自社の文化や実情に合わせて具体的にカスタマイズ 4 法務部門のレビューと修正 法令遵守・就業規則との整合性・リスク対策のチェック 5 社内への周知と研修の実施 全社員への浸透・理解度テスト・自分事化の促進

ソーシャルメディアガイドラインの作成は、決して難しいものではありません。以下の5つのステップに沿って進めることで、誰でも自社に最適化された実用的なガイドラインを作成できます。初めて担当する方でも安心して取り組めるよう、各ステップでやるべきことを具体的に解説します。

ステップ1 ガイドラインを作成する目的を明確にする

最初に、「何のためにガイドラインを作成するのか」という目的を明確にしましょう。目的が曖昧なままでは、内容がブレてしまい、実効性のないものになってしまいます。目的を定めることで、盛り込むべき内容や表現のトーン&マナーの方向性が決まります。

主な目的としては、以下のようなものが考えられます。

  • SNS利用における法的・倫理的リスク(炎上、情報漏洩など)の防止
  • 従業員のSNSリテラシー向上と意識統一
  • 企業のブランドイメージや価値観の浸透
  • 公式アカウント運用の品質担保と効率化
  • 緊急時(炎上など)の迅速かつ適切な対応体制の構築

また、「誰に向けたガイドラインなのか」を定義することも重要です。全従業員を対象とするのか、それとも広報やマーケティング部門など公式アカウントの運用担当者向けに限定するのか、あるいは両方を作成するのかを最初に決定してください。

ステップ2 盛り込むべき内容を洗い出す

目的が明確になったら、次はその目的を達成するために必要な項目を具体的に洗い出していきます。抜け漏れを防ぐために、まずは網羅的にリストアップし、後から自社の状況に合わせて取捨選択するのがおすすめです。

一般的に、ソーシャルメディアガイドラインに盛り込むべき内容は以下の通りです。対象者別に整理しましたので、自社で作成する際の参考にしてください。

カテゴリ盛り込むべき内容の例主な対象者
基本方針ガイドラインの目的、適用範囲、ソーシャルメディア参加にあたっての心構え(誠実な姿勢、傾聴の姿勢など)全従業員
個人の発信における遵守事項会社の機密情報、顧客情報、個人情報の投稿禁止。他者を誹謗中傷する内容や差別的な発言の禁止。所属を明かす場合の発信ルール。全従業員
権利の尊重著作権、商標権、肖像権など第三者の権利を侵害しないこと。引用のルール。全従業員
公式アカウントの運用ルールアカウントの開設・廃止手順、投稿内容の承認プロセス、投稿のトーン&マナー、コメントやDMへの対応方針。運用担当者
緊急時の対応炎上や誤投稿が発生した際の報告ルート、対応体制、対外的なコミュニケーション方針。全従業員・運用担当者
罰則規定ガイドラインに違反した場合の懲戒処分に関する規定。就業規則との関連性。全従業員

ステップ3 テンプレートを元に草案を作成する

盛り込むべき内容が固まったら、いよいよガイドラインの草案を作成します。ゼロから文章を作成するのは大変な作業ですので、テンプレートを活用するのが効率的です。この記事の後半で紹介する「コピペで使えるテンプレート」などを参考に、ステップ2で洗い出した項目を肉付けしていきましょう。

このステップで最も重要なのは、テンプレートをそのまま使うのではなく、必ず自社の実情に合わせてカスタマイズすることです。企業の理念や文化、事業内容、従業員のITリテラシーなどを考慮し、誰が読んでも理解しやすく、実践できる言葉で記述することが求められます。

例えば、専門用語を避けたり、具体的なOK例・NG例を記載したりすることで、より分かりやすいガイドラインになります。

ステップ4 法務部門のレビューと修正

草案が完成したら、必ず法務部門やコンプライアンス部門にレビューを依頼してください。万が一、ガイドラインの内容が法的に不適切であった場合、かえって企業のリスクを高めてしまう可能性があるためです。

法務部門には、特に以下の観点からチェックを依頼しましょう。

  • 著作権法、個人情報保護法、景品表示法などの各種法令に抵触していないか
  • 人権侵害や差別につながる表現が含まれていないか
  • 就業規則や懲戒規定との整合性が取れているか
  • 情報漏洩リスクに対する対策が十分か

もし社内に法務部門がない場合は、顧問弁護士やSNSリスクに詳しい外部の専門家にレビューを依頼することを強く推奨します。法的な裏付けを得ることで、ガイドラインの信頼性と実効性が格段に向上します。

ステップ5 社内への周知と研修の実施

法務レビューを経て完成したガイドラインは、全従業員に周知して初めてその効力を発揮します。「作成して終わり」ではなく、「全社に浸透させる」ことこそがゴールだと認識しましょう。

周知の方法としては、以下のようなものが考えられます。

  • 社内ポータルサイトやイントラネットへの掲載
  • 全従業員へのメールでの通知
  • 入社時研修や階層別研修のプログラムに組み込む
  • 定期的なコンプライアンス研修のテーマとして取り上げる
  • ガイドラインの内容に関する理解度テストを実施する

特に研修では、単にルールを読み上げるだけでなく、過去に他社で起きた炎上事例などを交えながら「なぜこのルールが必要なのか」を具体的に伝えることが重要です。従業員一人ひとりがSNSに潜むリスクを自分事として捉え、ガイドラインを遵守する文化を醸成していきましょう。

コピペで使えるソーシャルメディアガイドラインのテンプレート

ソーシャルメディアガイドラインの構成 全従業員向け (基本テンプレート) 基本方針・心構え 機密情報・コンプライアンス 禁止事項(誹謗中傷など) トラブル時の報告フロー 公式運用者向け (詳細テンプレート) 運用目的・ペルソナ設定 投稿フロー・承認プロセス ユーザー対応・緊急時体制 セキュリティ・アカウント管理

この章では、すぐに使えるソーシャルメディアガイドラインのテンプレートを2種類ご提供します。「全従業員向け」と「公式アカウント運用者向け」に分けているため、自社の目的に合わせてご活用ください。ただし、これらはあくまで雛形です。必ず自社の事業内容や企業文化、想定されるリスクに合わせて内容を修正・追記し、法務部門の確認を経てから社内に展開してください。

社内向けガイドラインの基本テンプレート

全従業員を対象とした、個人でのソーシャルメディア(SNS、ブログ、動画共有サイトなど)利用に関する基本的な心構えとルールをまとめたテンプレートです。従業員一人ひとりの行動が、会社全体のリスクに繋がりうることを理解してもらうことを目的とします。

基本方針

当社は、従業員個人のソーシャルメディア利用を尊重します。ただし、ソーシャルメディア上での発信は、全世界に公開され、一度拡散されると完全な削除は不可能であることを理解し、社会人として、また当社の一員として、法令や社内規程を遵守し、責任ある行動をとることを求めます。

ソーシャルメディア利用における心構え

  • 会社の代表であるという自覚を持つ:プライベートでの利用であっても、プロフィールや過去の投稿から所属企業が特定される可能性があります。個人の発信が、会社の評価に影響を与えうることを常に意識してください。
  • 発言に責任を持つ:インターネット上に公開した情報は、完全には削除できません。不正確な情報や誤解を招く表現は避け、誠実なコミュニケーションを心がけてください。
  • 傾聴の姿勢を忘れない:ソーシャルメディアは、多様な意見や価値観を持つ人々が交流する場です。相手の発言を尊重し、真摯に耳を傾ける姿勢が、健全なコミュニケーションの第一歩です。
  • 健全な常識と良識ある行動を:発信する情報が、他者や社会にどのような影響を与えるかを常に考えてください。

遵守事項・禁止事項

ソーシャルメディアの利用にあたり、特に以下の事項を遵守し、禁止事項に該当する行為は絶対に行わないでください。違反した場合、就業規則に基づき懲戒処分の対象となることがあります。

項目遵守・禁止事項の詳細
コンプライアンス遵守法令、就業規則、その他社内規程を遵守してください。特に、インサイダー取引に繋がるような未公開の重要情報の発信は厳禁です。
機密情報の漏洩禁止顧客情報、取引先情報、技術情報、開発情報、財務情報、その他社外秘とされる情報をいかなる形でも公開・漏洩してはいけません。(例:開発中の製品写真、会議資料、社内システムのスクリーンショットなど)
個人情報・プライバシーの保護本人(お客様、取引先、従業員など)の許可なく、個人を特定できる情報(氏名、住所、電話番号、写真など)を発信してはいけません。他者のプライバシーを侵害する行為は禁止です。
知的財産権の尊重著作権、商標権、肖像権などの知的財産権を侵害してはいけません。他者の文章、画像、動画、音楽などを無断で使用・転載しないでください。引用する場合は、必ず出典を明記してください。
誹謗中傷・差別的発言の禁止特定または不特定の個人、人種、国籍、思想、信条などに対する誹謗中傷、差別的、攻撃的、わいせつな内容の発信を固く禁じます。会社の信用や品位を損なう発言も同様です。

トラブル発生時の対応

万が一、自身の投稿が原因で炎上したり、他者から批判を受けたりした場合は、自己判断で反論や投稿の削除を行わず、速やかに所属長および広報部門(または人事部門)へ報告してください。会社の指示に従い、冷静に対応することが重要です。

公式アカウント運用者向けの詳細テンプレート

企業の公式アカウントの運用担当者(広報、マーケティング、人事など)を対象とした、より詳細で実践的なルールを定めたテンプレートです。上記の「社内向けガイドライン」を遵守することに加え、企業の「顔」として一貫性のある情報発信を行うための具体的な運用体制を構築します。

運用目的と基本方針

  • 運用目的:このアカウントは、[例:ブランド認知度の向上、顧客エンゲージメントの強化、採用活動の促進]を目的として運用します。
  • ターゲット:主な情報伝達の対象は[例:20代の女性、BtoB企業のマーケティング担当者]です。
  • ペルソナ設定:発信する情報の「人格」として、[例:親しみやすい20代の先輩社員、信頼できるビジネスパートナー]のようなペルソナを設定します。
  • トーン&マナー:文章の口調は[例:です・ます調を基本とし、時々絵文字を使う]のように、ペルソナに合わせた統一感を保ちます。

投稿コンテンツの運用フロー

投稿の品質を担保し、承認プロセスを明確にするため、以下のフローに沿って運用を行います。

フェーズ担当者/部署具体的な作業内容
企画立案主担当者月間の投稿テーマ、スケジュール案を作成する。
コンテンツ作成主担当者/副担当者企画案に基づき、投稿のテキスト、画像、動画を作成する。
校正・承認承認者(所属長など)誤字脱字、事実誤認、不適切な表現がないかを確認し、投稿を承認または差し戻す。
投稿主担当者承認されたコンテンツを、指定された日時に予約または手動で投稿する。
効果測定主担当者投稿後のエンゲージメント(いいね、コメント、シェア数など)を分析し、週次/月次でレポートを作成する。

ユーザーとのコミュニケーション方針

  • コメントへの対応:原則として、すべての好意的・中立的なコメントや質問には24時間以内に「いいね」または返信で反応します。返信内容は、承認者の確認を必要とする場合があります。
  • ネガティブなコメントへの対応:感情的な反論や投稿の安易な削除は絶対に行いません。まずは事実確認を行い、対応方針を所属長と協議します。誤りがあった場合は速やかに訂正・謝罪します。
  • DM(ダイレクトメッセージ)への対応:お客様からのお問い合わせや個人情報を含むやり取りは、原則として公式のお問い合わせ窓口へ誘導します。DMでの個別対応は行いません。

緊急時(炎上など)の対応体制

投稿内容に重大な誤りがあった場合や、批判が殺到し炎上状態となった場合は、以下の体制で迅速に対応します。

  • 第一発見者/監視担当者:異常を検知した場合、直ちにエスカレーションフローに基づき、関係各所に報告します。
  • 一次対応担当(広報部門):状況の把握、情報収集を行い、対応方針の草案を作成します。
  • 最終意思決定者(役員/部門長):広報部門からの報告に基づき、公式見解の発表、謝罪の要否、投稿の削除/訂正などの最終的な対応方針を決定します。
  • いかなる場合も、担当者個人の判断で公式見解の発信や謝罪を行わないでください。

セキュリティとアカウント管理

  • ログイン情報:パスワードは英数字と記号を組み合わせた複雑なものに設定し、最低でも3ヶ月に1回変更します。パスワードの共有は必要最小限の範囲に留めます。
  • 二段階認証:なりすましや乗っ取りを防止するため、すべてのアカウントで必ず二段階認証を設定します。
  • 使用端末:公式アカウントへのアクセスは、会社が許可したデバイスからのみ行います。私物のスマートフォンやPCからのアクセスは原則禁止です。

参考にしたい有名企業のソーシャルメディアガイドライン事例

ソーシャルメディアガイドラインをゼロから作成するのは大変な作業です。そこで、すでに公開されている有名企業の事例を参考にすることで、自社に必要な項目や表現のヒントを得ることができます。ここでは、特に参考になる3社の事例をピックアップし、その特徴を解説します。

トヨタ自動車株式会社の事例

世界的な自動車メーカーであるトヨタ自動車は、グローバル企業ならではの視点でソーシャルメディアポリシーを策定・公開しています。従業員だけでなく、トヨタのソーシャルメディアを利用するすべての人に向けた内容となっており、多様な文化や価値観を持つユーザーとのコミュニケーションを前提とした姿勢が特徴です。

特に、公式アカウントからの発信が必ずしも会社の公式見解ではないことを明記する「免責事項」や、ユーザーへの「お願い」を設けることで、健全なコミュニティ形成を目指している点は、多くの企業にとって参考になるでしょう。

項目トヨタ自動車のガイドラインの特徴
基本姿勢「傾聴の姿勢」「誠実な行動と責任ある情報発信」を掲げ、顧客や社会との真摯な対話を重視している。
免責事項公式アカウントにおける情報発信のすべてが、必ずしも会社の公式発表・見解を表すものではないことを明確に記載し、リスクを管理している。
利用者へのお願いユーザーによる投稿内容の取り扱いや、禁止事項(誹謗中傷、公序良俗に反する行為など)を具体的に示し、建設的なコミュニケーションを促している。
グローバルな視点国や地域によって異なる文化、宗教、価値観への配慮を従業員に求めており、グローバルに事業展開する企業の姿勢を示している。

株式会社資生堂の事例

化粧品業界をリードする資生堂は、「美」を創造する企業として、そのブランドイメージを非常に大切にしています。同社のソーシャルメディアポリシーは、そのブランド価値を守り、向上させるための指針が色濃く反映されているのが特徴です。

特に注目すべきは、従業員が個人としてSNSを利用する際の心構えについて具体的に言及している点です。会社の代表であるという自覚を促しつつ、他者への敬意やポジティブなコミュニケーションを推奨しており、従業員のSNS利用におけるリスクヘッジとブランドイメージ維持の両立を目指す企業にとって、優れた手本となります。

項目資生堂のガイドラインの特徴
対象者資生堂グループの従業員および公式アカウントの利用者、双方に向けてポリシーを定めている。
基本原則「お客さま、社会、従業員など、資生堂に関わるすべての人々の絆を深める」ことを目的とし、ブランド価値向上への貢献を明確に打ち出している。
従業員の個人利用「会社の機密情報や個人情報を漏洩しない」「他者の著作権やプライバシーを侵害しない」「常に敬意を払い、誠実な態度で対話する」など、具体的な行動指針を提示している。
ブランドイメージの保護美を扱う企業として、差別的・攻撃的な表現を厳しく禁じ、ポジティブで健全なコミュニケーション空間の維持を重視している。

日本電気株式会社(NEC)の事例

BtoB(企業間取引)を主軸とするNECは、社会の基盤を支える企業として「信頼性」が最も重要な資産の一つです。同社のソーシャルメディアポリシーは、この信頼性を担保しつつ、従業員の自律的な情報発信を促すバランス感覚に優れています。

「NECグループソーシャルメディアポリシー」としてグループ全体で統一した姿勢を示しており、従業員の自主的な情報発信を尊重しつつも、企業人としての自覚と責任を求める明確な行動原則が示されています。特に、専門知識を持つ従業員が個人の見解を発信する際にも、会社としての公式見解と混同されないよう配慮を求める点は、専門性の高い業界の企業にとって非常に参考になります。

項目NECのガイドラインの特徴
基本ポリシー「NECグループブランド価値の向上に貢献すること」を目的とし、従業員一人ひとりがブランドの担い手であるという意識を醸成している。
従業員への指針法令や社内規程の遵守を大前提とし、「傾聴の姿勢」「誠実・謙虚な姿勢での発言」「発言内容への責任」など、社会人としての基本的な行動規範をSNS利用時に求めている。
情報発信のスタンス個人の意見が会社の公式見解ではないことを明確にするよう推奨し、誤解を招かないコミュニケーションを促している。
情報管理の徹底BtoB企業として、お客様やお取引先様の情報、未公開の機密情報の取り扱いについて厳格なルールを定めている。

ソーシャルメディアガイドライン作成時の注意点

ソーシャルメディアガイドライン運用のサイクル ソーシャルメディア ガイドライン 策定(スタート) 日々の運用 環境の変化・リスク プラットフォーム仕様変更 法改正・炎上事例 定期的な見直し・更新 (年1回〜半年1回推奨) 専門家への相談 客観的視点・法的チェック

ソーシャルメディアガイドラインは、一度作成すれば完了というわけではありません。SNSを取り巻く環境は日々刻々と変化しており、それに合わせてガイドラインも進化させる必要があります。ここでは、ガイドラインを形骸化させず、実効性のあるものとして運用していくための重要な注意点を2つ解説します。これらのポイントを押さえることで、継続的に企業と従業員をリスクから守り、SNS活用の効果を最大化できるでしょう。

作成して終わりではなく定期的に見直す

ソーシャルメディアガイドラインは、策定した時点でのベストプラクティスに過ぎません。時間の経過とともに、プラットフォームの仕様変更、社会の価値観の変化、新たな法律の施行など、さまざまな変化が生じます。そのため、少なくとも年に一度、あるいは半年に一度といった定期的な見直しが不可欠です。

見直しを行う際は、以下の点をチェックリストとして活用することをおすすめします。

  • 直近で発生した社内外の炎上事例やトラブルの原因は反映されているか
  • 新しく登場したSNSプラットフォーム(Threadsなど)への言及は必要か
  • ステルスマーケティング規制(ステマ規制)など、最新の法改正に対応できているか
  • 従業員からガイドラインに関する質問や分かりにくい点などのフィードバックはなかったか
  • 現在のガイドラインが、企業のブランド戦略や事業方針と乖離していないか

特に、以下のような事象が発生した場合は、定期的な見直しを待たず、速やかにガイドラインを更新する必要があります。

見直しのきっかけとなる事象具体的な対応・更新内容の例
プラットフォームの仕様変更Instagramのリール機能やX(旧Twitter)のコミュニティノートなど、新機能の利用ルールや注意点を追記する。
社会情勢・価値観の変化ジェンダー、多様性、人種、環境問題など、社会的にデリケートとされるトピックに関する表現の基準を更新する。
関連法規の改正景品表示法や著作権法、個人情報保護法などの改正内容を確認し、ガイドラインに反映させる。
社内でのインシデント発生実際に発生したトラブルやヒヤリハットを分析し、再発防止策として具体的な禁止事項や行動指針を明記する。
新規事業・サービスの開始新しい事業やサービスに関連する情報発信のルール(公開範囲、表現方法など)を新たに追加する。

これらの見直しを通じてガイドラインを常に最新の状態に保つことが、予期せぬリスクを回避し、企業の信頼性を維持するための鍵となります。

必要に応じてシエンプレなど専門家へ相談する

ソーシャルメディアガイドラインの作成や見直しは、自社内だけで完結させようとすると、重要な視点が抜け落ちてしまう可能性があります。社内の常識が世間の非常識であったり、潜在的な法的リスクに気づけなかったりするケースも少なくありません。そこで有効なのが、外部の専門家への相談です。

SNSのリスク対策やコンサルティングを専門とする企業(例えば、Webリスクコンサルティングで実績のある株式会社シエンプレなど)や、IT・インターネット問題に詳しい弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 客観的なリスク評価:自社では気づきにくい潜在的なリスクや、ガイドラインの不備を第三者の視点から客観的に指摘してもらえます。
  • 専門知識の活用:著作権、肖像権、薬機法、景品表示法といった法規制や、各SNSプラットフォームの最新規約に関する専門的な知見に基づいたアドバイスを受けられます。
  • 最新事例の共有:他社の成功事例や失敗事例(炎上事例)など、常にアップデートされる豊富な情報に基づいた、より実践的なガイドラインを作成できます。
  • リソースの最適化:ガイドラインの草案作成やレビュー、さらには社内研修の企画・実施までを委託することで、社内担当者の負担を大幅に軽減できます。

特に、過去にSNS関連のトラブルを経験した企業や、これから本格的に公式アカウントの運用を始める企業にとっては、専門家の知見を取り入れることが、将来のリスクを最小限に抑えるための賢明な投資となります。費用はかかりますが、一度炎上が発生した際の損害(ブランドイメージの失墜、顧客離れ、対応コストなど)を考えれば、専門家への相談は極めて有効なリスク管理手法といえるでしょう。

まとめ

本記事では、ソーシャルメディアガイドラインの作り方を、具体的な5つのステップに沿って解説しました。ソーシャルメディアガイドラインは、従業員の不用意な発信による炎上といったSNSリスクから会社と従業員を守り、企業のブランドイメージや信頼性を維持・向上させるために不可欠です。

作成にあたっては、まず目的を明確にし、本記事で紹介したテンプレートや、トヨタ自動車、資生堂といった有名企業の事例を参考にしながら自社に合った草案を作ることが効果的です。完成後は法務部門の確認を経て、研修などを通じて社内へ確実に周知させましょう。

重要なのは、ガイドラインを一度作って終わりにするのではなく、社会情勢やSNSのトレンドに合わせて定期的に見直すことです。SNSの安全かつ効果的な活用のために、本記事を参考に自社のソーシャルメディアガイドラインを整備・運用してください。

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